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営業とバックオフィスのコラム

法人向けテレアポのコツを徹底解説|心理学・会話技法を活用した5ステップ

はじめに

法人向けテレアポでは、サービスの魅力を詳しく説明すれば、必ずアポイントにつながるわけではありません。電話を受けた相手は、話の内容を検討する前に、

「自社に関係のある電話なのか」
「長時間話を聞かされないか」
「一方的に売り込まれないか」
「信頼できる会社なのか」

といったことを短時間で判断しています。特に法人向けのテレアポでは、受付を通過し、担当者や決裁者につながったうえで、限られた時間内に関連性を伝えなければなりません。

本記事では、Passage株式会社がBtoB営業支援で培った知見をもとに、心理学を用いた実践的なコツを解説します。相手を言いくるめたり、断りにくい状況へ無理に誘導したりするのではなく、相手の状況や選択を尊重する誠実な営業姿勢を前提としています。

アポ率の改善を目指す営業責任者やインサイドセールス担当者の方々にとってすぐに活用できる内容となっているはずですので、ぜひ活用してみてください。

法人向けテレアポのコツは「売ること」ではなく「次の会話につなげること」

法人向けテレアポの目的は、アポイントを獲得することです。そのためには、相手に「この人の話なら、もう少し聞いてもよい」と思ってもらえるような、信頼のきっかけを作る必要があります。しかし、テレアポでは自社の商品やサービスを売ろうとするあまり、一方的なサービス説明に終始してしまうケースも少なくありません。

初回の電話で目指すべきなのは、商品やサービスのすべてを理解してもらうことではなく、自社の提案が相手企業に関係する可能性を伝え、詳しく話をする機会を作ることです。電話の中で、機能や料金、導入方法、実績などを一度に説明しても、相手は短時間ですべてを整理できません。説明が長くなるほど営業色も強くなり、「今は必要ありません」「資料だけ送ってください」と、会話を終えられやすくなります。

法人向けテレアポでは、次の3点を意識することが重要です。

  • 自社に関係のある話だと理解してもらう
  • 相手の状況や課題を確認する
  • さらに詳しく話を聞く価値があるか判断してもらう

テレアポを「商品を売り込む場」ではなく、「相手との信頼関係を築き、次の会話につなげる場」と捉えることで、伝える内容や質問の仕方も変わります。

法人向けテレアポの5ステップスアプローチ

Passage株式会社では、法人向けテレアポの会話を、次の5つのステップに分けて考えます。

  1. あいさつ|良い印象を与える
  2. 自己紹介|話を聞く姿勢を作る
  3. ヒアリング|相手の状況を理解する
  4. プレゼン|自社との関係性をイメージしてもらう
  5. クロージング|次の会話を具体化する

各ステップには、それぞれ異なる目的があります。いきなり商品説明や日程調整に進むのではなく、相手の心理状態に合わせて会話を一段ずつ進めることが重要です。

あいさつ|良い印象を与える

法人向けテレアポで成果を出す担当者は、最初のあいさつから「いかに良い印象を持ってもらうか」を意識しています。電話では相手の表情が見えないため、声のトーンや話す速さ、言葉遣い、あいづちといった一つひとつの要素が、担当者の印象を大きく左右します。第一印象が悪ければ、サービスの内容を伝える前に、話を聞いてもらえなくなる可能性があります。

一方で、あまりに堅苦しい話し方をすると、営業電話らしさが強くなり、相手の警戒心を高めてしまいます。反対に、フランクすぎる話し方は、法人向けのコミュニケーションでは無礼な印象を与えかねません。大切なのは、相手の話し方や雰囲気に合わせながら、少し明るく、落ち着いたトーンで話すことです。

心理学やコミュニケーションの分野では、相手の話す速さや声の大きさ、会話の温度感に自然に合わせることを「ペーシング」と呼びます。たとえば、忙しそうに短く話す相手に対して、ゆっくりと長い説明を続ければ負担を与えてしまいます。反対に、落ち着いて話す相手に早口でまくし立てれば、急かされているように感じられるでしょう。

意識したいポイントは、次のとおりです。

  • 相手より少し明るく、落ち着いた声のトーンで話す
  • 相手の話す速さや情報量に合わせる
  • 自然なあいづちを打つ
  • 堅苦しすぎず、親しみを感じられる態度を心がける
  • 電話を切る瞬間まで丁寧な対応を続ける

良い印象は、最初の一言だけで決まるものではありません。会話中の反応や、お断りを受けた際の対応、最後のあいさつまで、すべてが相手の印象に影響します。今回はアポイントにつながらなくても、後日あらためて電話をした際に、良い印象とともに思い出してもらえる可能性があります。

自己紹介|話を聞く姿勢に入ってもらう

あいさつで良い印象を持ってもらえたら、次は自己紹介です。自己紹介の目的は、会社名やサービス名を伝えることではなく、相手に「少し話を聞いてみよう」と思ってもらい、話を聞く姿勢に入ってもらうことです。

テレアポを受ける相手は、基本的に仕事中です。予定していなかった電話に対応しているため、長い説明を聞きたいとは考えていません。そのため、自己紹介が長すぎたり、相手の会話のテンポに対して話す速度が遅すぎたりすると、「話が長そうだ」「忙しいので早く切りたい」と思われてしまいます。そのため、自己紹介は短く、理解しやすくまとめる必要があります。情報が簡潔で理解しやすいほど、相手が内容を処理しやすくなるという考え方を「処理流暢性」といいます。要するに、「わかりやすい言葉を選ぶ」ということです。

たとえば、次のように専門用語を並べても、相手はすぐには理解できません。

「弊社ではリードジェネレーションからナーチャリング、SDR、BDRの構築まで一気通貫で支援しています」

次のように言い換えた方が、何をしている会社なのかが伝わりやすくなります。

「法人企業様向けに、新規顧客へのアプローチから商談設定までをご支援しています」

一方で、沈黙を避けようとして、営業担当者が一方的に話し続けてしまうこともあります。相手が黙っていると、話を聞いてくれているように感じるかもしれません。しかし、実際には内容を聞いているのではなく、「どのタイミングで断ろうか」と考えている可能性があります。

話の途中に「間」がなく、一方的に説明が続いている状態は、相手が話を聞く姿勢に入っているとはいえません。自分の話ばかりをして、こちらの反応を確認してくれない人の話を、もっと聞きたいとは思いにくいものです。テレアポでも同様に、相手が考えたり、返答したりできる余白を作ることが重要です。

自己紹介では、次のポイントを意識しましょう。

  • 内容を、短く簡潔に伝える
  • 箇条書きのような説明ではなく、短いストーリーとして話す
  • 相手が心地よいと感じられる会話のテンポを意識する
  • 相手が反応したり、質問したりできる「間」を作る

そのうえで、話を続ける許可を取ります。

「貴社に関係する内容かどうかも含め、1分ほど概要をお伝えしてもよろしいでしょうか」

人は、自分の選択を制限されたと感じると、反発したくなることがあります。これは「心理的リアクタンス」と呼ばれる心理です。話を聞くかどうかの判断を相手に委ねることで、一方的な営業という印象を抑えられます。ただし、「1分」と伝えた場合は、実際に1分程度で要点をまとめることが大切です。その結果、あいさつで作った良い印象を保ちながら、相手に話を聞く姿勢へ入ってもらえる可能性が高まります。

ヒアリング|相手の状況を理解する

自己紹介の次は、相手の状況を確認するヒアリングです。テレアポでは、サービスを説明することに意識が向きすぎて、相手の状況を十分に確認しないまま話を進めてしまうことがあります。しかし、相手の状況が分からなければ、どの価値を伝えるべきかも判断できません。ヒアリングの目的は、相手を問い詰めたり、その場で課題を認めさせたりすることではありません。現在の体制や取り組みを確認し、自社の提案と相手企業との接点を見つけることです。

相手の状況を聞く際には、「はい」「いいえ」だけで終わるクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを活用します。

たとえば、次のような質問です。

「現在、新規企業へのアプローチはどのような体制で行われていますか」

「営業担当者様は、商談と新規開拓を兼任されているのでしょうか」

「新規商談を増やすうえで、特に負担を感じている部分はございますか」

ただし、電話の冒頭から抽象的な質問を投げかけても、相手は答えにくくなります。「営業人員」「架電」「商談数」など、回答する範囲をある程度絞ることがポイントです。また、相手が話してくれた内容は、短く要約して確認します。相手の言葉を整理して返す方法を「バックトラッキング」と呼びます。

たとえば、次のような会話です。

相手:

「既存顧客への対応が多くて、新規開拓まで手が回っていないんですよね」

営業担当者:

「既存のお客様への対応を優先されているため、新規開拓に充てる時間を確保しにくい状況なのですね」

そのうえで、次の質問につなげます。

「新規開拓については、現在、営業担当者様が兼任されている形でしょうか」

相手の発言を受け止めてから質問することで、一方的なヒアリングになりにくくなります。ヒアリングで重要なのは、質問の数ではありません。相手の話を聞き、認識を確認しながら、自社が役に立てる可能性を見つけることです。

プレゼン|商品・サービスに興味を持ってもらう

相手の状況を確認できたら、次はプレゼンです。ここでの目的は、相手に「これは自社にも関係がありそうだ」「もう少し詳しく聞いてみたい」と思ってもらうことです。相手は、すべての営業提案を拒否しているわけではありません。多くの場合、避けたいのは、自社に関係のない商品やサービスを一方的に勧められることです。そのため、ヒアリングで確認した相手の状況と、自社の商品やサービスの価値を結び付けて伝えます。

たとえば、営業担当者が商談と新規開拓を兼任している企業に対しては、次のように伝えます。

「既存顧客への対応や商談を優先されているため、新規企業へのアプローチを継続しにくい状況なのですね。弊社では、新規企業への架電や商談設定の部分を支援し、営業担当者様には商談や既存顧客対応へ集中していただける体制づくりをお手伝いしています」

単に、

「営業リストの作成と架電に対応しています」

と機能を説明するよりも、導入後に相手の業務がどのように変わるのかを伝えた方が、価値をイメージしやすくなります。同じ内容でも、伝える視点によって受け取られ方が変わることを「フレーミング効果」と呼びます。法人向けテレアポでは、次のような比較を使うと、導入後の変化をイメージしてもらいやすくなります。

・導入前と導入後を比較する

「これまでは営業担当者様が商談と新規開拓を両方担当していたところを、新規アプローチの一部を外部化することで、商談対応に使える時間を確保しやすくなります」

・従来の方法と新しい方法を比較する

「担当者様の空き時間に架電する体制では件数にばらつきが出やすい一方、役割を分けることで継続的なアプローチを行いやすくなります」

・近い課題を持つ企業の事例を伝える

「同じように営業担当者様が新規開拓を兼任されていた企業様から、継続的なアプローチ体制を作りたいというご相談をいただくことがあります」

他社の事例や実績は、相手が自社への活用可能性を判断する材料になります。こうした考え方は「社会的証明」と呼ばれます。ただし、「多くの企業が導入しています」と抽象的に伝えるだけでは十分ではありません。業種、企業規模、抱えていた課題、支援内容など、相手に近い事例を示す方が、自社に置き換えて考えてもらいやすくなります。また、事例や数値を伝える場合は、確認できる事実だけを使用しましょう。

プレゼンで意識したいポイントは、次の3つです。

  • 相手が導入後の状態をイメージできるように伝える
  • ヒアリングした内容と、自社の価値を結び付ける
  • すべてを説明せず、詳しく聞きたくなる余白を残す

テレアポでは、映画の予告編のように、続きを知りたくなる程度に価値を伝えることが重要です。

「具体的な進め方については、現在の営業体制をもう少し伺ったうえで、貴社に合う形をご説明できればと思います」

電話では興味を持ってもらい、詳細は商談で説明するという役割分担を意識しましょう。

クロージング|商談の日程を具体化する

テレアポの最終段階は、商談の予定を確定させるクロージングです。ここまでの会話で良い印象を持ってもらい、商品やサービスへの興味を高めることができても、日程を曖昧なまま終えてしまえば、本末転倒です。相手が話を聞くことに前向きな反応を示したら、その流れを止めずに、こちらから具体的な日程を提案しましょう。

ただし、最初から導入判断を求める必要はありません。

「弊社のサービスを導入していただけませんか」

と聞くのではなく、

「まず30分~1時間ほどで現在の営業体制を伺い、弊社がお役に立てる部分があるか、お時間をいただけないでしょうか」

と提案します。

このように、本命の大きな要求を通すために、まずは相手が簡単に引き受けられる小さな要求から始め、段階的に要求を大きくしていく心理テクニックは「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれます。重要なのは、小さな承諾を利用して相手を誘導することではありません。面談の目的や所要時間を明確にし、相手が承諾しやすい状態を作ることで、心理的な負担を軽減することが大切です。相手が面談に前向きであれば、営業担当者側から具体的な候補日を提示します。

「ありがとうございます。それでは、詳しい内容をオンラインでご説明できればと思います。来週ですと、火曜日の午前か木曜日の午後はいかがでしょうか。」

候補日を用意することで、相手は自分の予定と照らし合わせるだけで回答できます。日程調整の負担を減らすことも、相手への配慮です。この相手に2つの選択肢を提示し、どちらかを選ばせる心理テクニックや質問手法は「二者択一法」とも呼ばれます。

ただし、候補を提示する目的は、相手にアポイントを強制することではありません。

「どちらも難しいようでしたら、別の日程でも調整いたします」

と添え、選択の余地を残しましょう。

クロージングで意識したいポイントは、次の3つです。

  • 相手が興味を示したタイミングで商談を提案する
  • 面談の目的と所要時間を明確にする
  • 相手が回答しやすいよう、複数の候補を用意する

クロージングは、相手を押し切る場面ではありません。ここまでの会話で生まれた興味や信頼を、具体的な次の行動へつなげる工程です。相手が迷わず回答できるように選択肢を整理し、スムーズに商談日程を確定させましょう。

5ステップと心理学・会話技法の関係

法人向けテレアポでは、心理学や会話技法を独立したテクニックとして使うのではなく、会話の各段階に合わせて活用することが重要です。

ステップ 目的 活用する考え方
あいさつ 良い印象を与える ペーシング
自己紹介 話を聞く姿勢を作る 処理流暢性、心理的リアクタンス
ヒアリング 相手の状況を理解する オープンクエスチョン、バックトラッキング
プレゼン 自社との関係性をイメージしてもらう フレーミング効果、社会的証明
クロージング 次の行動を具体化する フット・イン・ザ・ドア、二者択一法

すべてのテクニックを一度の電話で使う必要はありません。相手の反応を見ながら、その場面で必要なものだけを取り入れましょう。

法人向けテレアポで心理学を使う際の注意点

テクニックを使うことが目的にならないようにする

心理学や会話技法を意識しすぎると、相手の話を聞くことよりも、準備した言葉を使うことが目的になってしまいます。

まずは、次の3つから始めるとよいでしょう。

  • 説明を短くまとめる
  • 相手が返答できる間を作る
  • 相手の発言を要約して確認する

実績や数字を作らない

社会的証明や比較を使う場合でも、存在しない実績を伝えたり、都合のよい数字だけを見せたりしてはいけません。導入企業、成果、顧客の声などは、確認できる情報だけを使用します。

相手の断りを尊重する

相手が明確に必要ないと伝えている場合は、心理テクニックを使って無理に会話を継続しないことが重要です。短期的にアポイントを獲得できても、相手が望んでいない面談であれば、商談化や受注にはつながりにくくなります。そして、今回はアポイントにつながらなくても、後日あらためて電話をした際に、良い印象とともに思い出してもらえるように努力することも重要です。

心理学だけで成果が決まるわけではない

テレアポの成果は、話し方やテクニックだけで決まるものではありません。ターゲット企業とサービスの相性、リストの精度、架電のタイミング、商材の競争力、実績、担当者の商品理解など、さまざまな要因が影響します。心理学は、適切な相手に、適切な情報を分かりやすく届けるための補助的な考え方として活用しましょう。

まとめ

法人向け営業の最終的な目的は、商品やサービスを売ることですが、テレアポの目的は、電話だけで商品やサービスを売ることではありません。相手に「この人の話なら、もう少し聞いてもよい」と思ってもらい、次の会話へつなげることです。

そのためには、次の5つのステップを意識します。

  1. あいさつで良い印象を与える
  2. 短い自己紹介で話を聞く姿勢を作る
  3. ヒアリングによって相手の状況を理解する
  4. 相手の課題と自社の価値を結び付ける
  5. 回答しやすい形で商談を提案する

心理学や会話テクニックは、相手を強引に誘導するためのものではありません。相手の警戒心や判断の負担に配慮し、自社の商品やサービスが必要かどうかを、相手自身が判断できる会話を作るために活用します。テレアポは、準備したトークを一方的に読み上げる業務ではありません。相手の反応を聞きながら、必要な情報を必要な分だけ届け、双方にとって意味のある商談機会を作る営業活動です。

Passage株式会社では、BtoB企業様を対象に、テレアポ代行やインサイドセールス支援を行っています。

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