応酬話法とは?BtoB新規開拓で使える6つの型と断り文句別の切り返し例

BtoB営業における新規顧客開拓で求められる「応酬話法」とは
新規顧客開拓では、
「今は必要ありません」
「すでに他社を使っています」
「忙しいので結構です」
「とりあえず資料を送ってください」
といった反応を受けることは珍しくありません。こうした場面で、相手の言葉を受け止めながら会話を進めるための技法が応酬話法(おうしゅうわほう)です。ただし、応酬話法は「断られたときに、うまく言い返すためのテクニック」ではありません。相手がなぜそう答えたのかを理解し、必要であれば次の会話につなげる。そのためのコミュニケーション技法です。本記事では、BtoBの新規顧客開拓で使われる代表的な応酬話法と、実際の営業現場を想定した切り返し例を解説します。

応酬話法とは?
応酬話法とは、営業活動において顧客から質問や懸念、断りを受けた際に、その言葉を受け止めながら適切に会話を続けるための話法です。営業現場では「切り返し」や「反論処理」といった言葉で表現されることもあります。しかし、相手から出てきた反論を単に「処理する」と考えてしまうと、
「どうすればこの断りを突破できるか」
に意識が向きすぎてしまいます。BtoB営業ではむしろ、相手がなぜそのように考えているのかを理解するための対話と捉えた方が、実際の営業活動には活かしやすいでしょう。
応酬話法は「言い負かす技術」ではない
新規顧客開拓では、相手が最初から商品やサービスに興味を持っているとは限りません。たとえば「必要ありません」という一言にも、
- 本当に課題を感じていない
- すでに別の方法で解決している
- 今は優先順位が低い
- サービス内容や価値がまだ伝わっていない
- 突然の営業なので、とりあえず断っている
など、さまざまな背景があります。
ここで、
「ですが、弊社のサービスなら……」
とすぐに説明を始めても、相手が断った理由と営業側の説明が噛み合わない可能性があります。まず相手の言葉を受け止める。必要であれば、その理由を聞く。切り返すことより、相手を理解すること。これが応酬話法を使ううえでの基本です。
Passageでは、法人向けテレアポの会話を「あいさつ・自己紹介・ヒアリング・プレゼン・クロージング」の段階に分け、相手の状況を理解しながら会話を進めることを重視しています。テレアポ全体の会話設計については、法人向けテレアポのコツを徹底解説|会話テクニックを活用した5ステップでも詳しく解説しています。

新規顧客開拓で使われる代表的な応酬話法6つ
応酬話法には、いくつか代表的な型があります。すべてのフレーズを暗記する必要はありません。それぞれがどのような考え方で会話をつないでいるのかを理解しておくことが重要です。
Yes-But法|一度受け止めてから別の視点を伝える
相手の意見を一度肯定し、そのうえで別の視点や情報を提示する方法です。
顧客
「今の方法で特に困っていません」
営業
「現在問題なく運用されているのであれば、すぐに変更する必要はないと思います。ただ、今後に備えて他の方法も比較しておきたいという企業様もいらっしゃいます。」
注意したいのは、「でも」「しかし」を強く使うと、前半で肯定していても結局否定されたように聞こえることです。相手の意見を形式的に肯定してから反論するだけにならないよう注意しましょう。
Yes-And法|肯定したうえで情報を加える
相手の意見を否定せず、その内容を受け止めたうえで情報を追加する方法です。
顧客
「導入するのに手間がかかりそうですね」
営業
「おっしゃる通りです。初期には一定の準備が必要です。そのため、導入時の作業負担を減らすところまで支援しています。」
「しかし」と逆接しないため、Yes-But法よりも相手と対立する印象を与えにくい話法です。
質問法|断りの背景を確認する
断り文句に対して説明を始めるのではなく、質問によって相手の状況を確認する方法です。たとえば、Passageが新規顧客開拓について提案する場面であれば、
顧客
「今は特に検討していません」
営業
「承知しました。新規顧客開拓については、現在どのような方法で取り組まれていますか?」
と質問することで、相手の状況を理解できます。そこで特に課題がないことが分かれば、無理に営業を続ける必要はありません。応酬話法は必ず切り返すためのものではなく、営業を続けるべきか、一度引くべきかを判断するためにも使えます。
ブーメラン法|懸念を別の視点から捉える
相手から出てきた懸念を、別の視点から捉え直す方法です。
たとえば、
「人手不足だからこそ導入した方がいいですよ」
と即座に返してしまうと、相手の困りごとを都合よく営業材料へ変えているように聞こえます。一方で、
「人手が足りず、新しい取り組みまで手が回らない状況なのですね。もし現在の業務負担を減らすことが目的であれば、今回の支援が合う可能性があります。」
と、一度相手の状況を理解したうえで別の視点を伝えれば、会話の印象は変わります。相手の懸念を無理やりメリットへ変換しないことが重要です。
クッション話法|不安を一度受け止める
相手の不安や懸念に対して、すぐに説明や反論をせず、一度受け止める方法です。
顧客
「システムを変えると現場が混乱しそうです」
営業
「そこはご不安になりますよね。実際に現場で使う方への負担は、導入時に確認しておくべきポイントだと思います。」
営業担当者から見れば解決できる問題でも、相手にとっては重要な懸念です。先に受け止めることで、その後の説明にもつなげやすくなります。
例話法|事例を使ってイメージしてもらう
似た課題を持っていた企業の事例を伝える方法です。たとえば、Passageが営業支援について説明する場合であれば、
顧客
「うちのような会社でも外部へ依頼するメリットがありますか?」
営業
「営業リソースが限られている企業様で、新規開拓の一部を外部化し、社内の営業担当者が商談や既存顧客への対応に集中できる体制へ見直すケースがあります。」
事例を使うことで、抽象的なメリットだけを説明するよりも、自社に置き換えて考えてもらいやすくなります。もちろん、条件の異なる事例を無理に当てはめたり、実績を誇張したりしてはいけません。

断り文句別|新規顧客開拓でよくある切り返し例5パターン
応酬話法の型を知っていても、実際の営業現場で自然に使えるとは限りません。ここからは、新規顧客開拓で起こりやすい断り文句をもとに、具体的な対応を考えてみます。
「今は忙しい・時間がない」
相手が忙しいと言っているのであれば、基本的には一度引きます。
切り返し例
「承知しました。お忙しいところ失礼いたしました。また改めてご連絡いたします。」
ここで、
「3分だけお願いします」
「いつなら大丈夫でしょうか」
と会話を続けると、相手からすれば「忙しいと言ったのに、まだ電話が終わらない」という状態になります。その場ですべてを解決する必要はありません。架電した時間帯や相手の反応を残し、次回の接触方法を考えることも営業活動の一部です。
応酬話法だけではなく、受付対応やヒアリング、架電後の振り返りまで含めたテレアポの実践方法については、BtoB営業におけるテレアポのコツとは?アポ率を高める実践ポイントを解説も参考にしてください。
「予算がない・費用が高い」
「予算がない」という言葉だけでは、本当に金額そのものが問題なのかは分かりません。
切り返し例
「承知しました。ちなみに、金額面以外で気になっている点はございますか?」
相手の回答を聞くことで、
- 本当に予算だけが問題なのか
- 費用対効果を判断する材料が足りていないのか
- そもそも必要性を感じていないのか
が見えてくることがあります。理由によって、その後に伝えるべき内容も変わります。
「すでに他社を利用している」
他社を利用しているからといって、無理に乗り換えを勧める必要はありません。
切り返し例
「すでに取り組まれているのですね。現在のサービスで、もし一つ改善できるとすれば、どのあたりでしょうか?」
特に不満がなければ、現時点では自社の支援対象ではない可能性があります。一方で、改善したいことが聞ければ、自社が支援できる余地があるかを判断できます。
「興味がない・必要ない」
本当に必要がない場合もあれば、まだサービスの価値が十分に伝わっていない場合もあります。たとえば新規顧客開拓支援についてであれば、
切り返し例
「承知しました。新規顧客開拓については、現在の進め方で特にお困りではないという理解でよろしいでしょうか?」
課題がなければ、そのまま会話を終えて構いません。すべての断りを突破することが、良い営業ではありません。相手に必要性がなければ引くことも、営業判断の一つです。
「とりあえず資料を送ってください」
資料送付を求められた場合、無理に商談へ持ち込む必要はありません。
切り返し例
「もちろんです。もしお時間があれば一点だけ、現在はどのような方法で取り組まれているか教えていただけますか?内容を合わせてお送りします。」
答えてもらえれば、相手に合った情報を送れます。相手に時間がなければ、そのまま資料を送り、その後の反応を見るという選択肢もあります。

切り返しは「暗記」ではなく「記録と改善」で強くなる
応酬話法を身につけるために、100種類の切り返しフレーズを覚える必要はありません。Passageが営業活動で重視しているのは、実際に相手から返ってきた言葉を残し、振り返れる状態をつくることです。そして、断り文句だけを見るのではなく、
「その言葉が出る直前に、営業側は何を伝えていたのか」
まで確認します。
同じ「必要ありません」という反応でも、
- いきなり商品説明から入っていなかったか
- 相手の状況を聞く前にメリットを伝えていなかったか
- 説明が抽象的ではなかったか
- アポイントを求めるタイミングが早すぎなかったか
によって、改善するポイントは変わります。
断り文句だけを見て、
「『必要ない』への切り返しを強くしよう」
と考えても、そもそも直前のトークに問題があれば成果は変わりません。また、切り返しの文章だけでなく、ロールプレイングなどを通じて、
「言い方が強くなっていないか」
「質問が尋問のようになっていないか」
「相手の回答を聞かず、次の説明へ進んでいないか」
を第三者が確認することも有効です。こうした営業担当者個人の経験を記録し、組織のノウハウとして蓄積する考え方については、営業を仕組み化するメリットとは?法人向け営業が実践する手順や注意点でも詳しく解説しています。

断られた理由こそ、新規顧客開拓の一次情報になる
ここからは、一人ひとりの営業トークではなく、営業活動全体の改善という視点です。Passageでは、新規顧客開拓の結果を見る際に、アポイントを獲得できたかどうかだけではなく、
「どのような企業へ、何を伝えた結果、どのような反応が返ってきたのか」
を見ることを重視しています。なぜなら、断られた理由の中には、ターゲットや訴求そのものを見直すヒントが含まれているからです。たとえば「必要ない」という反応が特定の企業群で多いのであれば、切り返しを強くする前に、その企業をターゲットにしていること自体が適切なのかを考える必要があります。「他社との違いが分からない」という反応が多ければ、問題は応酬話法ではなく、そもそもの価値の伝え方にあるかもしれません。「資料だけ送ってください」が続くのであれば、電話で話を聞く理由を十分につくれていない可能性もあります。
つまり、
顧客の反応
→ 原因を考える
→ 仮説を立てる
→ ターゲットや訴求を変える
→ 再度検証する
というサイクルを回すことが、新規顧客開拓の改善につながります。特にBDR型の新規顧客開拓では、トークだけではなく、どの企業を狙うのか、どのような課題を仮説として置くのか、何を訴求するのかまで含めて検証する必要があります。新規開拓を組織として設計する方法については、BDRの立ち上げ方|新規開拓を仕組み化する7手順でも解説しています。
応酬話法は、営業担当者がその場を切り抜けるためだけの技術ではありません。顧客との対話から市場の反応を知り、営業の勝ち筋を探すための手段の一つでもあります。自社だけでこうした検証を行うことが難しい場合には、営業代行などの新規顧客開拓支援を活用する方法もあります。
その場合も、単純なアポイント件数だけを見るのではなく、
「どの企業から」
「どのような反応があり」
「そこから何を改善するのか」
まで共有できる体制をつくることが重要です。

応酬話法に関するよくある質問
応酬話法と反論処理は違いますか?
営業現場では近い意味で使われることがあります。ただし、「反論を処理する」と考えるよりも、相手の懸念や断りの背景を理解し、必要な情報を返すコミュニケーションと考える方が実践しやすいでしょう。
クッション話法とは何ですか?
相手の意見や懸念に対してすぐに反論せず、「おっしゃる通りです」「そこはご不安になりますよね」など、一度受け止めてから話を続ける方法です。
応酬話法は何種類覚えればよいですか?
数多くの型を暗記する必要はありません。まず代表的な話法を理解し、自社の営業活動で実際によく出てくる断り文句への対応から整備する方が実践的です。
テレアポでも応酬話法は使えますか?
使えます。ただし、テレアポは相手の予定とは関係なく電話をかける営業手法でもあります。そのため、無理に会話を続けず、一度引く判断も重要です。インサイドセールスや商談でも基本的な考え方は共通しています。

まとめ|切り返しの目的は、相手を理解すること
応酬話法は、断られたときにうまく言い返すためのテクニックではありません。相手の言葉を受け止め、その背景を理解し、必要であれば次の会話につなげるための技術です。そして新規顧客開拓では、断られたという結果そのものも、営業を改善するための重要な情報になります。切り返しの目的は、話し続けることではありません。相手を理解し、次に何をするべきかを考えることです。

