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営業とバックオフィスのコラム

トークスクリプトとは?作り方・テンプレートをBtoB営業の実例で解説

目次

はじめに

「営業担当者によって話す内容が違う」「新人がなかなかアポイントを獲得できない」「成果を出している担当者のノウハウが共有されていない」。営業活動で、このような課題を抱えている企業もあるのではないでしょうか。

こうした営業活動の品質をそろえ、組織全体で改善していくために役立つのがトークスクリプトです。

トークスクリプトとは、営業担当者が顧客と話すときの流れや質問、想定される反応への対応を整理したものです。ただし、決められたセリフを読み上げれば成果が出る、というものではありません。実際の現場では、事前に想定していた課題と顧客の状況が違ったり、予想していなかった質問が返ってきたりします。大切なのは、基本の流れを共有しながら、相手の状況に合わせて柔軟に対応することです。

本記事では、トークスクリプトの意味やメリット、作り方、すぐに使えるテンプレートを紹介します。あわせて、Passage株式会社が実際にアポイントを獲得した架電の記録から、顧客の反応に合わせたトークの進め方や、営業活動を改善するためのポイントも解説します。

トークスクリプトとは?

トークスクリプトとは、営業活動や電話対応で、顧客との会話の流れ、伝える内容、質問、想定される回答への対応をあらかじめ整理したものです。テレアポ、インサイドセールス、商談、コールセンターなどで活用されています。

BtoBの電話営業であれば、次のような内容を整理します。

  • 受付で担当者へどう取り次いでもらうか
  • 担当者につながったら何を伝えるか
  • 顧客の現状や課題をどうヒアリングするか
  • 自社サービスをどのタイミングで紹介するか
  • 質問や懸念にどう対応するか
  • アポイントをどう打診するか
  • 次の商談に向けて何を確認するか

こうした流れを事前に整理しておけば、次に何を話すべきか判断しやすくなり、重要な確認事項の抜け漏れも防げます。

「読み上げる台本」ではなく「会話の設計図」

トークスクリプトというと、用意した文章をそのまま読み上げるものだと考える方もいるかもしれません。しかし実際の営業では、会話が想定どおりの順番で進むとは限りません。

たとえば、情報システム部門の業務負担について質問したところ、「その業務は別の部署が担当しています」と答えが返ってくることがあります。このとき、準備した質問をそのまま続けても会話は噛み合いません。相手が実際に担当している業務を確かめ、質問の方向を変える必要があります。

そのため、トークスクリプトには、何を話すかだけでなく、何を確認し、相手の答えによって次にどう進むかまで整理しておくことが大切です。

トークスクリプトと営業マニュアルの違い

項目 トークスクリプト 営業マニュアル
主な目的 顧客との会話を円滑に進める 営業活動全体の手順をそろえる
主な内容 会話の流れ、質問、例文、切り返し 業務フロー、記録方法、判断基準
具体例 担当者につながったときの用件の伝え方 どんなアポイントを商談担当者へ引き継ぐか

「担当者につながったら、どう用件を伝えるか」はトークスクリプトに書きます。一方、「架電結果をどこに記録するか」「どんな条件の商談を有効とするか」は営業マニュアルで定めるのが一般的です。営業活動を標準化するには、両方を組み合わせて運用します。

営業トークスクリプトを作成する4つのメリット

1. 担当者ごとの品質のばらつきを抑えられる

トークスクリプトがないと、担当者によって説明の順番や質問が変わりやすくなります。ある担当者は相手の状況を聞いてから紹介し、別の担当者はいきなりサービス説明から入る、ということが起こります。

スクリプトで最低限確認すべきことと基本の流れを共有すれば、対応品質のばらつきを抑えられます。料金、提供範囲、契約条件など、正確に伝える必要がある事項をそろえるうえでも役立ちます。

ただし、全員が同じ言葉を使う必要はありません。正確さが求められる説明はそろえつつ、言い回しや質問の順番は相手に合わせて柔軟にします。

2. 新人教育やロールプレイングに使える

経験の浅い担当者にとって、何が返ってくるかわからない電話は大きな負担です。スクリプトがあれば、基本の流れを理解したうえで練習できます。「今は必要ありません」「すでに他社を使っています」といった反応への対応も、ロールプレイングで確認できます。

大切なのはセリフの暗記ではなく、「なぜその質問をするのか」「答えによって次に何を判断するのか」まで理解することです。

3. ヒアリングの抜け漏れを防げる

たとえば業務効率化のサービスを案内する場合、次のような情報を確認したい場面があります。

  • 担当人数や業務体制
  • 時間がかかっている業務
  • 既存の外部委託先やシステムの利用状況
  • 進めている業務改善の取り組み
  • 今後の検討予定や意思決定の進め方

ただし、一度の電話ですべてを聞く必要はありません。相手の時間や会話の流れに合わせて、優先順位をつけて確認します。

4. 振り返りと改善に使える

アポイントが取れなかったときに「興味がなかった」とだけ記録しても、次の改善にはつながりません。冒頭の説明が長かったのか、相手の状況を確認できていなかったのか、そもそも架電先が合っていなかったのか。スクリプトを工程ごとに整理しておけば、どこを直せばよいかを検討しやすくなります。

うまくいった会話や、よく受ける質問を共有すれば、担当者個人の経験を組織のノウハウとして蓄積することもできます。

営業トークスクリプトの基本構成

BtoBの電話営業は、次の流れを基本にすると整理しやすくなります。

Passage株式会社でも、実際にアポイントを獲得した架電の記録を振り返り、この8つの工程を土台に、顧客の反応に応じた分岐を加えた標準スクリプトを整備しました。分岐の使いやすさや商談の質への影響は、現在も運用しながら確かめています。

工程 目的 会話例
① 受付・取次ぎ 適切な担当者につないでもらう 「営業部門のご担当者様はいらっしゃいますか?」
② 挨拶・用件 誰から何の電話かを伝える 「新規開拓のご支援の件でお電話しました」
③ ヒアリング 担当業務や現状を把握する 「今、新規開拓はどのような体制で進められていますか?」
④ サービス紹介 相手の状況と自社の支援を結びつける 「今お話しいただいた部分をお手伝いしています」
⑤ 質問・懸念への対応 相手の疑問や事情を理解する 「そうなんですね。今の対応方法について、もう少し伺ってもよろしいですか?」
⑥ アポイント打診 面談の目的と所要時間を伝える 「改めて、支援内容をオンラインで30分ほどご紹介してもよろしいですか?」
⑦ 日程・連絡先の確認 面談を確実に実施できるようにする 「〇日の〇時からでよろしいでしょうか?」
⑧ 商談に向けた確認 次の商談に必要な情報をそろえる 「当日、特に確認されたい点はありますか?」

すべての工程を順番どおりに進める必要はありません。ヒアリングで自社サービスが合わないとわかれば、サービス紹介や打診をせずに終えることもあります。相手が先に質問してきたら、答えてからヒアリングに戻ることもあるでしょう。

特に意識したいのは、ヒアリングで確認した内容と、サービス紹介の内容を一致させることです。相手が話した課題と関係のない説明を続けても、関心は持ってもらえません。

トークスクリプトの作り方【7ステップ】

STEP1:営業活動の目的を明確にする

最初に、何のために電話をかけるのかを決めます。

  • 新規顧客との商談機会をつくる
  • 過去に接触した顧客の状況を確認する
  • 資料請求後の顧客へ追加情報を届ける
  • 導入時期や検討状況を確認する

このとき、アポイントの獲得だけをゴールにしないことが大切です。認知拡大や長期的な関係づくりが目的なら、今は導入を検討していない企業との情報交換にも意味があります。一方、短期の受注を目指すなら、具体的な課題や検討時期の確認が欠かせません。

営業活動を始める前に、どのような目的・状態のアポイントを獲得したいのかを決めておきましょう。

STEP2:ターゲットと課題の仮説を整理する

次に、どんな企業の誰にアプローチするのかを整理します。BtoB営業では、業種、規模、事業内容、担当部署、役職などが手がかりになります。

同じ「業務効率化」の提案でも、総務部門なら採用事務や社内申請、情報システム部門ならヘルプデスクやIT資産管理が話題になるかもしれません。ただし、これはあくまで仮説です。組織体制や業務分担は企業ごとに大きく違うため、「この部署だから、この課題があるはず」と決めつけず、ヒアリングで確かめます。

スクリプトだけでなく、架電先の選び方も成果を左右します。ターゲットの絞り込みについては「BtoB営業におけるテレアポのコツとは?アポ率を高める実践ポイントを解説」でも解説しています。

STEP3:自社サービスの提供価値を整理する

スクリプトを書く前に、自社サービスについて次の点を整理します。

  • どんな企業・担当者を支援できるか
  • どんな課題に対応できるか、どの業務まで対応できるか
  • 対応できない業務は何か
  • 競合サービスとの違いは何か
  • 料金や契約条件はどうなっているか

サービスの特徴と、顧客にとっての価値は分けて考えます。たとえば「必要な業務を必要な時間だけ依頼できる」という特徴は、顧客にとって「繁忙期の負担を軽くできる」という価値になり得ます。

料金や提供範囲などの重要事項は、担当者によって説明が変わらないよう社内で正確に共有します。一方、面談の所要時間などは案件や顧客の都合で変わることもあるため、「標準の案内」と「調整してよい条件」を分けて整理しておくと運用しやすくなります。

STEP4:会話を工程ごとに分解する

受付、挨拶、ヒアリング、サービス紹介、打診など、会話を工程ごとに分け、それぞれについて次の3つを書き出します。

  1. この工程の目的は何か
  2. 何を話す・質問するか
  3. どんな答えなら次の工程へ進むか

たとえばヒアリングの目的は、相手の現状を理解することです。「今はどのような体制で対応されていますか?」という質問を用意し、答えによって次の質問を変えられるようにします。セリフだけでなく、質問の目的と次に進む判断基準まで整理するのがポイントです。

STEP5:顧客の反応ごとに分岐を作る

想定どおりの答えが返ってくるとは限りません。「今、営業活動でお困りのことはありますか?」と聞いた場合、たとえば次のような答えが考えられます。

顧客の回答 次の対応
「新規開拓まで手が回っていない」 どの業務が、どの程度負担になっているかを聞く
「今の体制で特に困っていない」 現状を確認し、必要がなければ終える
「その業務は別の部署です」 相手が実際に担当している業務を聞く
「すでに他社に依頼している」 必要に応じて運用状況を確認する
「外部委託はしない方針です」 方針を尊重し、提案は控える
「今は忙しい」 かけ直してよい時間帯を確認する

なお、課題の仮説を示すこと自体は悪いことではありません。「同じ業界では〇〇に時間がかかるというお話もありますが、御社ではいかがですか?」と聞くことで、相手が自社の状況を考えるきっかけになる場合もあります。ただし、相手がそれに同意しただけで「重要な課題が確認できた」と判断せず、実際にどの程度の負担があるのかまで確認しましょう。

STEP6:実際に使い、顧客の反応を記録する

ロールプレイングを経て実際の架電で使い、アポイントの有無だけでなく、相手がどう反応したかを記録します。

同じ「今は必要ありません」でも、今の体制で回っている、すでに他社に委託している、組織として外部委託を認めていないなど、背景はさまざまです。こうした違いを記録しておくと、営業活動を見直すときの判断材料になります。

通話記録や個人情報を扱う場合は、社内ルール、契約、関係する法令を確認し、適切に管理してください。

STEP7:結果をもとに改善する

トークスクリプトは、作って終わりではありません。担当者にはつながるのにヒアリングに進めないなら、冒頭の説明が長すぎないか、話を聞く理由が伝わっているかを見直します。アポイントは取れても商談でニーズが合わないことが多いなら、打診前のヒアリングや、面談目的の伝え方を見直します。

改善するときは、一度にすべてを変えず、工程を絞って検証するのがおすすめです。

すぐに使える営業トークスクリプトのテンプレート・例文

ここでは、BtoBの電話営業を想定したテンプレートを紹介します。まず基本の型を表で整理し、そのあと会話形式で確認します。

以下の例文は説明用の想定例で、特定の通話をそのまま再現したものではありません。自社のサービス、ターゲット、提供条件に合わせて調整してください。

基本テンプレート(穴埋め式)

工程 話す内容・確認事項 次に進むための判断
① 受付 「〇〇の件で、△△部門のご担当者様はいらっしゃいますか?」 担当者につながったか
② 挨拶・用件 「〇〇株式会社の△△です。□□の件でお電話しました」 相手が話せる状況か
③ ヒアリング 「今、〇〇はどのような体制で進められていますか?」 担当業務や現状を確認できたか
④ 課題の確認 「その中で、特に時間がかかっているのはどのあたりですか?」 課題の有無や負担の程度を確認できたか
⑤ サービス紹介 「弊社では、〇〇の部分をお手伝いしています」 相手の業務に関係する内容か
⑥ アポイント打診 「改めてオンラインで30分ほど、〇〇についてご紹介してもよろしいですか?」 目的と時間を理解したうえで了承があるか
⑦ 日程確認 「〇日か〇日でしたら、どちらがご都合よろしいですか?」 日時・方法・連絡先を確認できたか
⑧ 最終確認 「当日、特に知りたいことはありますか?」 関心事項や未確認の点を整理できたか

この表は基本形です。相手の答えによっては、途中の質問を省いたり、サービス紹介をせずに会話を終えたりします。面談時間の「30分」も例なので、相手が確保できる時間に合わせて調整してください。

テンプレート①:新規顧客への電話営業

新規の電話営業では、いきなり長いサービス説明をせず、用件を短く伝えて相手の状況を聞くことが大切です。以下は、新規開拓の営業支援を案内する場面を想定した例です。

営業担当者: お世話になります。〇〇株式会社の△△と申します。営業部門のご担当者様はいらっしゃいますか?

受付: どういったご用件でしょうか?

営業担当者: 法人向けに新規開拓のお手伝いをしている会社でして、その件で営業のご担当者様に一度ご案内できればと思い、お電話しました。

(担当者へ取次ぎ)

営業担当者: お忙しいところ、お電話口までありがとうございます。〇〇株式会社の△△です。今の営業体制について少しだけ伺えればと思ってお電話しました。1〜2分ほどよろしいでしょうか?

顧客: はい、少しなら。

営業担当者: ありがとうございます。今、新規のお客様の開拓は、社内の営業の方が対応されていますか?

顧客: そうですね、社内でやっています。

営業担当者: 既存のお客様の対応と、同じ方が兼務されている感じですか?

顧客: そうですね、兼務しています。

営業担当者: そうなんですね。その中で、新規開拓に使える時間は今どのくらい取れていますか?

顧客: 既存のお客様の対応が多いので、なかなか取れていないですね。

営業担当者: なるほど、既存のお客様の対応が中心になっているんですね。弊社では、新規のお客様へのアプローチなど、営業活動の一部をお手伝いしておりまして。新規開拓の時間をつくる方法の一つとして外部の支援も選択肢になりそうでしたら、どんな業務をお任せいただけるか、改めて別の日にオンラインで30分ほどご紹介させていただけますか?

顧客: 内容を聞くぐらいなら大丈夫ですよ。

営業担当者: ありがとうございます。今の営業体制も踏まえて、支援内容や事例を含めてご紹介させていただきたく。来週の火曜日か木曜日でしたら、どちらがご都合よろしいですか?

(日程を決め、面談の目的・所要時間・案内方法を確認する)

この例のポイント

最初から「困っていますよね」と決めつけず、体制と業務分担を聞いています。そのうえで、相手が自分で話した「新規開拓に時間を取れていない」という状況に合わせてサービスを紹介しています。打診では、面談の目的と所要時間をあわせて伝え、今の通話とは別に時間をもらうことを明確にしています。

相手の答えが違った場合の分岐例

実際の会話は、上の例のように進むとは限りません。体制を確認したときに、次のような答えが返ってくることもあります。

パターンA:十分な営業体制が整っている

顧客: 新規開拓は専任の担当者がいるので、特に困っていないですね。

営業担当者: そうなんですね、専任の方がいらっしゃるんですね。それでしたら、今は大丈夫そうですね。お忙しいところ、ありがとうございました。

パターンB:担当部署が違う

顧客: 新規開拓は別のチームが担当しているので、詳しくはわからないですね。

営業担当者: 承知しました。差し支えなければ、ご担当の部署を教えていただけますか?

相手の答えごとに、次の質問や行動を決めておくと、スクリプトを実際の営業活動で使いやすくなります。

テンプレート②:過去に接触した顧客への再アプローチ

再アプローチでは、前回の会話を踏まえ、状況に変化がないかを確かめるのがポイントです。

営業担当者: お世話になっております。以前、営業支援の件で一度お電話した〇〇株式会社の△△です。その節はお時間をいただき、ありがとうございました。

顧客: ああ、はい。

営業担当者: 前回は、新規開拓は社内で対応されているとお聞きしたのですが、今も変わらずでしょうか?

顧客: そうですね、今も社内で対応しています。

営業担当者: ありがとうございます。前回から、体制や取り組み方で何か変わったことはありますか?

顧客: 今のところ、特に変わっていないですね。

営業担当者: 承知しました。また体制を見直されるタイミングがあれば、他社さんの進め方の例などもお伝えできますので、そのときはお声がけいただければ幸いです。

この例のポイント

前回の内容を踏まえて聞くことで、相手に同じ説明を繰り返させずに済みます。ただし、以前の情報が今も正しいとは限らないため、必ず現状を確認します。接触履歴が確認できない場合は、「以前お話しした」とは言わないでください。

体制の変化や新しい課題がわかった場合は、その内容を詳しく聞き、必要に応じて情報提供やアポイントの打診に進みます。

テンプレート③:課題が明確でない顧客へのヒアリング

「特に困っていない」と言われたときに大切なのは、課題がある前提で話を進めないことです。

営業担当者: ちなみに今、営業活動で何かお困りのことはありますか?

顧客: いや、今のところ特に困っていないですね。

営業担当者: そうなんですね。新規のお客様へのアプローチから商談まで、社内で完結している感じですか?

顧客: そうですね、基本的には社内で対応しています。

営業担当者: 今の体制で回っているなら、それが一番ですよね。お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。

この例のポイント

「困っていない」という答えを否定せず、相手の現状を理解することを優先しています。最初の答えだけでは状況がわからない場合もあるので、相手が応じてくれる範囲で一つ確認するのはよいでしょう。ただし、必要がないとわかったら、無理にアポイントを取る必要はありません。

テンプレート④:よくある反応・断り文句への対応

顧客の反応 対応例
「今は必要ありません」 「承知しました。今の体制で問題なく回っていらっしゃるんですね。」
「すでに他社を利用しています」 「そうなんですね。今のところ、運用で気になっている点は特にないですか?」
「外部委託はしない方針です」 「承知しました。社内で対応される方針なんですね。そういうことでしたら、こちらからのご提案は控えますね。」
「もう業務の効率化は進めています」 「すでに進められているんですね。今も人の手で対応されている業務はありますか?」(特にないと言われたら、そのまま終える)
「その業務は担当が違います」 「失礼しました。実際には、どのような業務をご担当されていますか?」
「専門的な内容なので、分かる人でないと話しにくい」 「おっしゃるとおりですね。こちらで対応できる範囲を確認したうえで、改めてご案内させてください。」
「今は忙しいです」 「失礼しました。改めてお電話するなら、比較的つながりやすい時間帯はありますか?」(不要と言われたら、そのまま終える)
「30分くらいしか取れません」 「承知しました。では30分で要点を絞ってご紹介しますね。」
「とりあえず資料を送ってください」 「ありがとうございます。お送りしますね。特に見ておきたい内容があれば、それに合わせてお送りします。」

大切なのは、断り文句を「突破する」ことではありません。相手の事情を理解し、必要な情報を伝えたうえで、会話を続けるか、引くかを判断するための対応です。

また、受付で取次ぎを頼む際に、実際と違う用件を伝えるのは避けましょう。担当者につながった後に話が噛み合わず、かえって信頼を損ないます。電話での会話の進め方は「法人向けテレアポのコツを徹底解説|心理学・会話技法を活用した5ステップ」でも紹介しています。

【実際の架電事例】顧客の反応から学ぶトークスクリプトの活用方法

ここからは、Passage株式会社が実際に行った電話営業のうち、アポイントを獲得した通話の記録から、トークスクリプトの活用・改善に役立つ4つの事例を紹介します。

これらは、Passageが自社サービスを案内するために行った営業活動の記録であり、お客様から受託した営業代行案件の成果を示すものではありません。また、アポイントを獲得できなかった通話との比較や、その後の受注結果の検証は行っていないため、特定の話し方がアポイント獲得に有効だったと断定するものでもありません。

会話の内容は、実際の通話で確認できた出来事をもとに要点を整理したものです。企業や担当者が特定されないよう固有の情報を省き、説明用に再構成しています。発言を一字一句再現したものではありません。

事例①:想定していた担当業務と、実際の業務が違ったケース

顧客の反応

業務改善に関わる担当者への架電で、営業担当者はヘルプデスク対応やPC・ネットワーク関連の業務負担を想定して質問しました。先方からは、そうした業務は別の部署が担当していると説明されました。

営業側の対応

営業担当者は、想定していた業務と違うとわかった時点で、先方が実際に担当している業務を聞き直しました。その結果、主な担当が開発業務と、各部署から依頼される業務改善施策の管理であることがわかりました。部署や役割の名称だけでは見えなかった業務内容を、聞き直すことで把握できています。

会話の流れ(実際の通話をもとにした説明用の再構成)

営業担当者: 社内のPC対応や問い合わせ対応などは、ご担当されていますか?

顧客: そのあたりは別の部署が担当しています。

営業担当者: そうなんですね。では、今ご担当されているのはどのような業務ですか?

顧客: 開発や、各部署から依頼される業務改善施策の管理ですね。

営業担当者: 各部署からの依頼も担当されているんですね。その中で、特に時間がかかっているのはどのあたりですか?

さらに深められる点

相手が説明した業務について、もう一歩詳しく聞く余地もあります。たとえば次のような質問です。

「各部署から依頼される業務改善施策の管理をされているんですね。特に時間がかかっているのは、依頼内容の整理と、関係部署との調整では、どちらが大きいですか?」

相手が実際に話した内容から次の質問を組み立てると、より具体的な状況を把握しやすくなります。

ポイント:課題の仮説は準備する。ただし、相手の答えを優先する。

事例②:相手の主な業務と、案内していた支援内容が違ったケース

顧客の反応

情報システム関連の担当者への架電で、営業担当者はヘルプデスクやベンダー対応の負担について確認しました。先方からは、そうした業務には大きな課題はなく、主な業務はシステム開発や既存システムの改修だと説明されました。

さらに、開発に関連する一部の業務は、すでに外部に委託していることがわかりました。

営業側の対応

営業担当者は、先方の主な業務が開発であることを踏まえ、開発に専念するために周辺業務をどう減らせるか、という観点での情報提供を提案し、面談の了承を得ています。

会話の流れ(実際の通話をもとにした説明用の再構成)

営業担当者: ヘルプデスクやベンダーさんとのやり取りで、負担になっている部分はありますか?

顧客: そこはあまりないですね。

営業担当者: そうしますと、今は開発や改修のほうが中心でしょうか?

顧客: そうですね。問題になっているのは開発の部分です。開発の知識がある人でないと、具体的な話は難しいですね。

営業担当者: 承知しました。開発に関わる業務は、すべて社内で対応されていますか?

顧客: 一部は外に出しています。

さらに深められる点

先方はすでに一部の業務を外部に委託しているため、同じ業務の外部委託を重ねて勧めるのが適切とは限りません。次の商談では、既存の委託先とどう役割を分けているか、ほかに負担になっている業務があるかを確認するとよいでしょう。

また、専門的な開発業務には、それに対応できる知識や技術が必要です。自社で対応できる範囲を確認しないまま、開発支援まで提供できるかのように説明することは避けます。

ポイント:相手の課題だけでなく、今の対応方法や既存の委託状況も確認する。

事例③:アポイント確定後のヒアリングで関心事項がわかったケース

顧客の反応

バックオフィス部門への架電で、営業担当者は業務効率化について案内し、情報提供を目的としたアポイントを獲得しました。その後、営業担当者が「今、工数を削減できたらよいと感じている業務はありますか」と尋ねると、先方から採用関連の業務が挙がりました。営業担当者が応募者とのメール対応について聞くと、先方は同意しました。

営業側の対応

アポイントを獲得した後も追加でヒアリングを行い、次の商談で取り上げる可能性がある業務を把握しています。商談の準備につながる、参考になる対応です。

さらに深められる点

先方が自分から挙げたのは「採用関連の業務」で、「応募者とのメール対応」は営業担当者が具体例として示したものです。そのため、メール対応が最も大きな負担だとまでは判断できません。次の商談では、「採用関連の業務の中で、具体的にどの工程に時間がかかっていますか?」と改めて確認するとよいでしょう。

商談担当者への引き継ぎでも、相手が自分から話した内容と、営業側が例示して同意を得た内容は分けて記録します。

ポイント:相手が自分から話した課題と、営業側が例示した内容を区別する。

事例④:日程案内のメールが届くまで、通話中に確認したケース

顧客の反応

ある企業への架電で、営業担当者はオンラインでの情報交換のアポイントを獲得しました。日程が決まった後、先方から、案内メールがほかのメールに埋もれてしまわないか、という心配の声がありました。

営業側の対応

営業担当者は、日程案内のメールを通話中に送り、先方が受信を確認できるまで対応しました。あわせて、オンライン会議の参加方法も案内しています。

この対応から学べること

アポイントを獲得しても、案内メールが届かなかったり、相手が日程を把握できていなかったりすると、商談自体が実施されないことがあります。この事例では、日程を決めるだけでなく、相手が実際に案内を確認できる状態まで見届けています。

すべての通話で受信確認が必要なわけではありません。今回のように、相手から具体的な心配が示されたときに、その場で応えることが大切です。

ポイント:アポイント確定後も、相手の状況に合わせて最後まで確認する。

4つの事例からわかること

事例 トークスクリプトに活かせること
① 担当業務が想定と違った 仮説が外れたときに「実際の担当業務」を聞き直す質問を用意しておく
② 主な業務が開発だった 課題だけでなく、今の対応方法や既存の委託状況を確認する項目を入れる
③ アポ後に関心事項を確認した 相手が自分から話した内容と、こちらが例示した内容を分けて記録する
④ 案内メールを確認した 日程確定後に、相手が面談に参加できる状態かを確かめる手順を入れる

アポイントを獲得できた会話を、そのまま「正解のスクリプト」として共有するのではなく、良かった対応と、さらに深められる点を整理してスクリプトに反映していくことが、組織全体の品質向上につながります。

トークスクリプトを活用する際の注意点

台本をそのまま読み上げるだけにしない

トークスクリプトは、営業活動を補助するためのものです。用意した文章を読み進めることに集中しすぎると、相手が話している内容が耳に入らなくなります。相手の答えを聞き、必要に応じて質問や説明の順番を変えましょう。

断り文句に対して強引に説得を続けない

「必要ありません」「今は外部委託を考えていません」という答えには、さまざまな背景があります。一度理由を聞くことで、相手の状況がわかる場合もあります。

ただし、相手がはっきり断っているなら、無理に会話を続けないことが大切です。相手の時間や意向を尊重することも、営業におけるコミュニケーションの一つです。

トークスクリプトを改善し、組織の営業力につなげる方法

1. 通話記録と顧客の反応を振り返る

改善の出発点は、実際の通話で相手からどんな反応が返ってきたかを確認することです。同じ「必要ありません」でも、直前に何を話したかによって、見直すべき点は変わります。サービス紹介が長すぎたのか、相手の状況を確認できていなかったのか、そもそもターゲットが合っていなかったのか。こうした点を確かめながら、改善の仮説を立てます。

記録するときは、相手が自分の言葉で話した内容と、営業側が例として示して同意を得た内容を分けておきましょう(事例③)。

また、振り返りでは改善点だけでなく、良かった対応も確認します。相手の質問に的確に答えられた場面や、相手の事情に合わせて対応できた場面(事例④)も、チームで共有する価値があります。

2. 営業プロセスごとの指標を確認する

指標 確認する内容 主に見直す対象
担当者接触率 担当者本人にどの程度つながったか 営業リスト、架電先、架電時間、受付対応
アポイント獲得率 架電からどの程度アポイントを獲得できたか 用件の伝え方、ヒアリング、アポイント打診
商談実施率 設定したアポイントが実際に実施された割合 日程調整、案内方法、事前確認
有効商談率 実施された商談のうち、決めた条件を満たす割合 ターゲット選定、ヒアリング、面談の目的
商談からの受注率 商談が受注につながった割合 提案内容、商談の進め方、顧客との適合性

アポイント獲得率が高くても有効商談率が低い場合は、打診前のヒアリングが足りていない可能性があります。担当者にそもそもつながらない場合は、スクリプトより先に、営業リストや架電先の部署、架電の時間帯を見直します。

なお、指標の分母は企業や案件によって異なります。たとえばアポイント獲得率を、総架電件数で割るのか、担当者と話せた件数で割るのかを社内で統一しておきましょう。

3. 顧客の課題と導入意向を分けて記録する

アポイントを獲得したら、「アポ獲得」とだけ記録するのではなく、相手の状況を整理して商談担当者に引き継ぎます。ポイントは、「課題があるか」と「導入を検討しているか」を別々に記録することです。

記録項目 確認する内容 記録例
課題の状況 相手が業務上の課題を認識しているか 課題あり/課題なし/未確認
導入の検討状況 サービスの導入を検討しているか 検討中/情報収集中/現時点では検討なし/未確認
現在の対応方法 社内対応、外部委託、システム活用など 一部の業務は外部に委託済み
制約・方針 外部委託の可否、予算、組織の方針 グループ内で対応する方針
面談の目的 次の面談で何を確認・説明するか 他社事例の情報収集
未確認事項 今回の通話で確認できなかったこと 具体的な検討時期

業務上の課題があっても、組織として外部委託を行わない方針の企業もあります。反対に、今は明確な課題がなくても、将来に向けて情報を集めたい企業もあるでしょう。二つを一つの分類にまとめると、こうした違いが見えなくなります。分けて記録することで、商談担当者は相手の期待値に合わせて準備できます。

4. 改善内容をチーム全体で共有する

うまくいった営業トークも、担当者個人の経験にとどまっていては組織の改善につながりません。通話から得た知見を整理し、スクリプトに反映していきます。

  1. 通話記録から相手の反応を確認する
  2. 話が噛み合った場面と、噛み合わなかった場面を整理する
  3. 良かった対応と、改善できる対応を分ける
  4. 見直したい質問や説明を書き直す
  5. 書き直したスクリプトでロールプレイングを行う
  6. 実際の架電で試し、結果を振り返る
  7. 効果があった内容をチーム全体に共有する

Passageの営業代行の事例では、特殊な業界の商材について業界理解を深めながらアポイントを獲得していった取り組みを紹介しています。詳しくは「特殊な業界理解まで踏み込む営業代行で、約60件以上のアポイントを獲得」をご覧ください。

このように、トークスクリプトは担当者個人のための台本であると同時に、営業組織の知見を蓄積していく仕組みでもあります。

営業担当者向け|架電後の振り返りチェックリスト

トークスクリプトを改善するには、通話後に短く振り返ることが役立ちます。架電の直後に確認できるよう、項目を8つに絞りました。

チェック項目 確認するポイント
□ 架電の目的を伝えたか 会社名と電話の目的を簡潔に伝えられたか
□ 相手の状況を確認したか 可能な範囲で、担当業務や今の体制を把握できたか
□ 相手の答えを聞けたか 用意した説明を一方的に続けなかったか
□ 課題を決めつけなかったか 事前の仮説と、相手が自分で話した内容を区別できたか
□ サービス説明は適切だったか 相手の状況と、自社の提供範囲が合っていたか
□ 相手の意向を尊重したか 明確な断りや組織の方針を無視しなかったか
□ 面談の目的を伝えたか 打診の際に、面談の目的と所要時間を伝えたか
□ 課題と導入意向を記録したか 「課題の状況」と「導入の検討状況」を、未確認も含めてそれぞれ記録したか

すべての項目にチェックが付くことが目的ではありません。たとえば相手が冒頭で断った場合は、ヒアリングや打診をしないのが適切な対応です。その場合、該当しない項目は「対象外」とします。相手に明確な課題がない場合も、状況を正しく理解できていれば、無理に課題を聞き出す必要はありません。

大切なのは、「今回の会話で何を確認できたか」「次はどこを改善したいか」を振り返ることです。管理者がこのチェックリストを使う場合も、担当者を一方的に評価するためではなく、改善点を一緒に考える材料として活用してください。

トークスクリプトに関するよくある質問

トークスクリプトはどのくらいの長さが適切ですか?

決まった長さはありません。ただ、通話中に長いスクリプトを目で追うのは難しいものです。基本の流れは簡潔にまとめ、詳しい説明や切り返しは必要なときに参照できる形にしておくことをおすすめします。

トークスクリプトどおりに話す必要はありますか?

一字一句そのまま話す必要はありません。スクリプトは会話の基本の流れを示すもので、実際には相手の反応に合わせて対応します。ただし、提供条件や価格など、正確に伝えるべき内容は、担当者によって説明が変わらないようにしましょう。

どのくらいの頻度で見直すべきですか?

架電の件数や内容によりますが、定期的に通話結果を振り返る機会を設けることをおすすめします。たとえば週次のミーティングで相手の反応を共有し、必要に応じて質問や説明を見直す方法があります。新しい商材を扱うときや、ターゲットを変えるときは、スクリプト自体の見直しも必要です。

トークスクリプトを作ればアポイント獲得率は上がりますか?

スクリプトを整えると、営業活動の標準化や改善は進めやすくなります。しかし、それだけで獲得率が必ず上がるわけではありません。アポイントの獲得には、ターゲットの選び方、サービスの提供価値、架電のタイミング、担当者へのつながりやすさなども関わります。スクリプトだけでなく、営業活動全体を見ながら改善しましょう。

生成AIはトークスクリプト作りに使えますか?

草案づくり、よくある質問や断り文句の整理、ロールプレイングの相手役などに活用できます。ただし、自社サービスについて誤った説明が含まれたり、質問が不自然になったりすることもあります。使う前に営業担当者や管理者が内容を確認し、実際の架電で検証してください。顧客情報や通話記録を扱う場合は、利用が許可された環境を使い、個人情報や機密情報の取り扱いに注意しましょう。

まとめ|トークスクリプトは作成後の活用と改善が重要

トークスクリプトは、営業担当者が顧客と話すときの流れ、質問、想定される反応への対応を整理したものです。営業品質の標準化、新人教育、ヒアリングの抜け漏れ防止に役立ちますが、作るだけで成果が上がるわけではありません。

実際の架電事例からもわかるように、相手の担当業務や課題、組織の状況は企業ごとに違います。大切なのは、用意したスクリプトにこだわることではなく、相手の答えを聞いて会話を調整することです。そして、アポイントの件数だけでなく、相手の関心や面談の目的、次の商談への引き継ぎまで確認することです。

トークスクリプトは、担当者に同じセリフを話させるためのものではなく、顧客との対話から得た知見を組織全体で活かすための仕組みです。

Passage株式会社では、新規顧客開拓(BDR)やインサイドセールスの支援で、お客様のサービスやターゲットを理解したうえで、アプローチ方法やトークスクリプトを設計しています。実際の営業活動で得られた反応を記録・共有し、継続的な改善につなげることを大切にしています。

新規顧客開拓の体制づくりや、営業活動の標準化・改善をご検討の際は、ぜひご相談ください。

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